PEST分析

PEST分析とは

「Politics(政治)Economy(経済)Society(社会)Technology(技術)」の4つの頭文字を取ったものです。

項目「SWOT分析」の外部環境分析(機会(Opportunity)と脅威(Threat))によく用いられます。


分析の仕方

まず前提として、今後5年間程度の中期的トレンドを予測するために分析を行います。

・Politics(政治)

政治の変化のうち、自社事業に関係する要素のみを分析します。分析素材としてはニュースや統計情報、法律や施策の変化となります。関税の変化や各国の動向、会社法や労働基準法、あるいは国策や天変地異、与野党の入れ替わりなどで国の方針に変化がありそうな分野について、現状分析から今後5年間の動向を予測します。

・Economy(経済)

現在、自社を取り巻く経済環境を広く分析します。たとえば自社の行う事業の日本国内での経済規模はいくらか、海外からの参入はないか、協力してくれる業界はどういったものがあるか、関連する業界はどういったものがあるか、インターネットサービスのうち自社に関連する革新技術はないか、業界のトレンドとして隆盛はどうか。物価水準や消費税、長期金利政策なども分析の要素となります。バブル崩壊やリーマンショックなど、経済的な大変化は自社にとっても大きな影響を与える要素となります。予測することは難しいことも多いですが、リスクヘッジを行うかどうかで未来が変わる可能性はあります。

・Society(社会)

人口分布図の変化や労働人口の増減、保険制度や年金制度、介護医療の施策など、社会の変化について分析します。少子高齢化が進んで働き手がいないという状況は自社にとっても脅威です。また男性の育児休暇の取得が社会的に一般化されたり、長時間労働が社会的問題になったり、介護のための退職が増えたりという事も今後を見定めるための要素です。

・Technology(技術)

自社に関連する技術について分析します。同業界での技術的動向はもとより、上流・下流の関連する業界の技術的動向も重要な分析要素となります。たとえばAI技術の変化で、物流やサービス分野での自動化が進めば、これまで存在していた産業が無くなるという事も起こりえます。新技術の情報は世界を超えて広がりますから、世界中の技術的なニュースを抑えておくことも重要です。


何ができるのか

4つの外部要因から自社のポジションを明確に把握するとともに、それぞれの分野の5年程度の動向を予測することで起こりうる脅威のリスクヘッジを行ったり、トレンドの盛り上がりに乗って業績を伸ばすことが可能となります。


具体的には

起業時や新規事業に参入する際、社会的に大きな変化があった時など、今後の動向が気になるときにSWOT分析と併せて行うと、今後予測した方向に向かって進んでいる場合、より積極的に行動できます。また、予測していなかった方向に外部環境が進んでいるときに、いち早く修正を行うことが出来ます。


弱点

短期的なトレンド、流行は中期的分析においてはノイズとなりがちです。どの要素が5年後にも影響を与えるのか、今流行している要素がどの程度影響を残すのかを見極めることは難しいことですが、重要な事です。

またPEST分析では外部要因しか分析できません。自社の内部要因についてはVRIO分析が効果的です。